姬蝶-吃喝玩樂

台湾の少女が舞妓の夢を叶える：FUMIKA（風實華）の夢追いの道

彰化生まれのFUMIKA（風實華）は、中学時代から日本文化やアニメに強い関心を持ち、それをきっかけに芸妓文化にも興味を抱くようになった。この情熱に突き動かされ、高雄の文藻外語大学に進学し、日本語を学んだ。在学中に西尾久美子氏の『京都祇園350年経営学』を読んだことが、彼女の芸妓への夢をさらに強くするきっかけとなった。

当時のFUMIKA（風實華）は、この道がいかに厳しいかをまだ知らなかった。しかし、彼女の持ち前の強い意志と勇気が、その夢を追い求める力となった。彼女の芸名「風實華」には、台湾から日本へ吹く風のように、芸妓文化への熱い想いが込められている。

見習いから舞妓、そして芸妓へ：夢の始まり

舞妓と芸妓の違いを知らない人も多いが、実はこの職業は段階を経て成長するものだ。芸妓になる前段階が舞妓であり、舞妓は見習いとしての修行から始まる。伝統的に、芸妓の多くは貧しい家庭の少女たちであり、「置屋」と呼ばれる芸妓の家で生活しながら訓練を受けていた。置屋は、舞妓や芸妓の衣装や生活費を負担し、彼女たちの成長を支えていた。

FUMIKA（風實華）は、2019年の夏に京都の語学学校に留学し、授業の合間を縫って芸妓文化に触れる機会を積極的に探した。学生である彼女にとって、芸妓の宴席に参加することは難しかったが、公開イベントなどを通じて学びを深め、芸妓への夢をさらに固めていった。

台湾から秋田・湯沢へ：夢を追い求める旅

留学を終え台湾に戻った後、FUMIKA（風實華）は日本各地の置屋に芸妓になりたいという手紙を送り続けた。しかし、多くの場合、返事はなかった。芸妓の世界は日本人が中心であり、通常は15歳頃から修行を始めるため、外国人がこの世界に入ることは非常に難しかった。

それでもFUMIKA（風實華）は諦めなかった。大学卒業後、再び日本に留学し、ホテル業やIT企業で働きながらチャンスを探し続けた。そして2022年、秋田県湯沢市の「地域おこし協力隊」が、芸妓文化の振興を目的に舞妓・芸妓の募集を行っていることを知った。これは彼女にとって絶好の機会だった。すぐに応募し、二度の面接と職場見学を経て、ついに舞妓見習いとしての道を歩み始めることになった。

舞妓としての修行の日々

かつての芸妓の修行は厳しく、見習いや舞妓は置屋で共同生活をしながら無給で訓練を受けていた。しかし、現在は労働環境が改善され、FUMIKA（風實華）も舞妓として給与を受け取りながら、個別の住居で生活している。ただし、訓練の厳しさは今も変わらない。

彼女の修行内容は、日本舞踊、茶道、華道、三味線など多岐にわたる。その中でも最も難しいと感じるのは舞踊と楽器の演奏だという。彼女は笑いながら「舞妓が本気で稽古しているかどうかは、足袋の裏がどれだけ黒くなっているかで分かるんです」と語る。

また、芸妓の仕事は技術だけでなく、客との会話や接待術も重要な要素である。宴席での対応や、客の好みを覚えること、突発的な出来事への対処など、すべて経験を通じて身につける必要がある。FUMIKA（風實華）は、この点が想像以上に難しいと感じている。

風のように華やかに：未来への展望

2024年3月3日、日本の「ひな祭り」の日に、FUMIKA（風實華）は7カ月に及ぶ厳しい修行を経て、ついに置屋の「お母さん」から正式に舞妓として認められた。現在は、芸妓文化の継承に尽力すると同時に、FacebookやInstagramなどのSNSを活用し、日々の修行や舞妓としての生活を発信している。その活動は台湾や日本のメディアにも注目され、多くのテレビ番組で取り上げられている。

FUMIKA（風實華）は、湯沢市の舞妓として地域の観光振興にも貢献している。2024年3月21日には、新北市から訪れた台湾人観光客の前で舞を披露した。彼女にとって、それは特別な瞬間だった。「まるで親戚が来てくれたような気持ちでした。本当に感動しました。これからも台湾と日本の文化交流を深めていきたいです」と語る。

FUMIKA（風實華）の物語は、単なる個人の夢の実現にとどまらず、台湾と日本の文化交流の架け橋としても大きな意味を持っている。彼女は今後も、舞妓としての道を歩みながら、地域の魅力を世界に発信し続けるだろう。